エビ・カニ類
ガザミ
Portunus (Portunus) trituberculatus (Miers.1876)
 北海道から台湾まで分布、内湾の砂泥底に生息する。甲羅は横長の六角形で、前縁にギザギザのとげが並び、左右の大きなとげが特徴の美味なカニ。はさみ脚の長い節に4本の突起がある。東京都内湾ではホンワタリとも呼ばれる。2020年8月17日、三枚洲周辺で採捕。
   タイワンガザミ
Portunus pelagicus
 ワタリガニの名で流通しているガザミによく似ているが本種は額縁に4本のトゲを持つこと(ガザミは3本)、はさみ脚の長い節に3本の突起がある(ガザミは4本)ことなどから区別できる。ガザミよりも南方系で、相模湾以南の西太平洋、インド洋に分布。青みが強くキレイなカニである。東京都内湾ではワタリとも呼ばれる。 2022年7月12日、羽田Cラン沖で採捕。
   ジャノメガザミ
Portunus (Portunus) sanguinolentus (Herbst,1783)
 甲表面に蛇の目様の3つの斑紋があることからジャノメガザミと呼ばれる。東京湾以南に分布。関東よりも関西方面での流通が多い。
2020年9月17日、羽田Cラン沖で採捕。

   イシガニ
 Charybdis (Charybdis) japonica (A.Miline Edwards,1861)
 北海道南部から九州、韓国、中国までの浅海に分布する。地域によってはガザミなどとの混称でワタリガニと呼ばれる。甲幅は8cmほどになり、外見はガザミに似ているが、甲羅の左右に大きな棘がないことで区別できる。食性は肉食性が強く、小魚、ゴカイ類、貝類など、いろいろな小動物を捕食する。カニの中では気が荒く、挟まれると極めて痛い。2020年8月12日、羽田Cラン沖で採捕。
フタホシイシガニ
Charybdis (Gonioneptunus) bimaculata (Miers,1886)
 イシガニの仲間で、甲羅に2つの斑紋があることからフタホシイシガニと呼ばれる。青森以南に分布。2020年4月27日に採捕。
   タカノケフサイソガニ
Hemigrapsus takanoi Asakura & Watanabe, 2005

 2005年の論文でこれまでケフサイソガニ1種であったものが、ハサミに生えている毛の大きさに内・外で差がないことや体表の斑点が細かいことから別種となったカニ。メスにはハサミの毛がないことから見分けが難しい。2020年12月3日、多摩川河口で採捕。
   マルバガニ
Eucrate crenata De Haan,1835

 東京湾以南の水深18~110mの砂地、砂泥地に生息。甲の左右にある濃褐色の1対の斑点が特徴。2020年6月17日、若洲沖で採捕。
   シワオオギガニ
Macromedaeus distinguendus
 房総半島以南にに分布、河口干潟に生息する。甲に皺が多いのが特徴。
2021年10月22日、多摩川河口で採捕。
   マメコブシガニ
Pyrhila pisum (De Haan,1841)
 岩手県から九州、奄美大島に分布、砂泥や砂礫泥の底質に生息する。生きている時の色は変異が大きく、暗灰色、暗褐色などの地色に白い大きな斑紋を持つものもある。歩く際には前に進み、その速度は遅い。2020年12月3日、多摩川河口で採捕。
   キンセンガニ
Matuta victor (Fabricius,1781)
 インド太平洋の熱帯・亜熱帯海域、日本では房総半島から南西諸島・小笠原諸島まで、暖流の影響が強い地域で広く見られる。 水のきれいな砂浜の潮間帯から水深15mほどまでに生息し、水中の砂底付近を横方向に素早く泳ぎ回るが、驚いた時などは脚で砂を掻き、数秒のうちに砂に潜ってしまう。2024年10月21日、多摩川河口で採捕
   イボイチョウガニ
Romaleon gibbosulum (De Haan, 1833)
 日本では北海道から九州に分布。 甲面は短毛で覆われ、疣状の突起が散在する。2020年5月19日、羽田空港C滑走路周辺で採捕
   ケブカエンコウガニ
Carcinoplax vestiva (De Haan,1833)
 北海道南部から中国北部沿岸に分布。水深30~100m泥・砂泥底に生息する。
甲・脚の表面はつねに泥に汚れた軟毛におおわれている。
2021年2月15日、羽田空港D滑走路周辺で採捕。
   モクズガニ
Eriocheir japonicus De Haan,1835
 日本全国に分布。成体は川に生息するが、幼生は塩分濃度の高い海で成長するため一生の間に海と河川の間を回遊する。甲幅は7-8cm、体重180gほどに成長する。食性はカワニナなどの貝類、ミミズ、小魚、水生昆虫、両生類など捕食。海産のカニと異なる独特の甘みの強いカニミソは、珍味として愛好され、特に卵巣の発達したメスが珍重される。2020年10月2日、羽田Dラン沖(St.2-2)で採捕。
   サメハダヘイケガニ
Paradorippe granulata (De Haan, 1841)
 ヘイケガニは甲表面が怒った顔のようにみえることから、壇ノ浦で敗れた平家の怨霊によるものと言われている。さらにサメハダの名前が付されているのは、甲がザラザラしているため。歩脚で二枚貝の殻を背負い隠れる習性がある。食用にはしない。
2021年5月25日、東京東航路付近で採捕。
   ウシエビ
Penaeus monodon Fabricius,1798
 東京湾以南の熱帯・亜熱帯域に分布するクルマエビ科のエビ。このウシエビの養殖物がスーパーで見かけるブラックタイガー。
2023年11月23日、荒川で採捕。

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   シバエビ
Metapenaeus joyneri (Miers.1880)
 シバエビの名前は、シバ(芝)が付くように、東京の芝浦(東京都港区周辺)の地名に由来する。この地域で多く獲れられていたが、東京内湾の開発とともにあまり見られなくなった。東京湾以南の水深10~30mの砂泥域に生息。近所のスーパーなどでは、九州産のシバエビが売られているのを見かけることがある。小型のエビであるが、かき揚げや天ぷらとして美味しい。東京都内湾では小型のものをコサクとも呼ぶ。
2021年9月17日、羽田Cラン沖(St.B)で採捕。
   ユビナガスジエビ
Palaemon macrodactylus
 日本各地に生息し汽水域でよく見られるエビ。東京湾奥ではボサエビとも呼ばれ、杉の枝を集めたものを海中に入れて漁獲する漬柴漁業として漁業が行われていた。釣り餌の他、かき揚げとして利用される。
2020年9月8日、多摩川河口で採捕。

   スジエビモドキ
Palaemon serrifer Stimpson, 1860
 北海道以南の潮だまりでよく見られるエビ。
2020年9月8日、多摩川河口で採捕。
   アナジャコ
Upogebia major (De Haan,1849)
 北海道から九州の砂泥地に穴を掘って生息。干潟では筆を使ってアナジャコを釣り上げる。姿、名前が似ているシャコの近縁種ではない。食用になるがあまり流通しない。釣り餌としても利用される。
2020年8月20日、多摩川河口で採捕。

   ニホンスナモグリ
Callianassa japonica Ortmann,1892
 干潟に穴を掘って潜っていることからスナモグリと呼ばれ、生息域は北海道以南の日本周辺。エビのような体型だがヤドカリの仲間。釣り餌として利用される。
2020年10月19日、多摩川河口で採捕。

   テッポウエビ
Alpheus brevicristatus
 内湾の砂泥底に巣穴を掘って生息する。巣穴にはスジハゼやイトヒキハゼなどが同居する。敵に対する威嚇や、獲物を気絶させる時に大きい方のはさみを使い大きな破裂音を出す。
2024年5月8日、多摩川河口で採捕。

   イソヘラムシ
Cleantiella isopus (Miers,1881)
 北海道から九州に分布。海藻の間や転石の下に生息する。
2021年1月26日、羽田Cラン沖(St.A)で採捕。
   ウミナナフシ類
Paranthura sp.

2021年8月25日、多摩川河口で採捕。
   フトウデネジレカニダマシ
Pisidia serratifrons
 本種は主に西日本海域の内湾域に多く、内湾の海底泥上の蛎殻等の隙間に生息し、水中の懸濁物、プランクトン等を鋏脚に生えている毛束で集めて捕食。ヤドカリの仲間。
2021年4月15日、羽田Cラン沖(St.A)で採捕。

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 参考資料 三宅貞祥. 1983. 原色日本大型甲殻類図鑑 ⅠⅡ,保育社, 大阪
・ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑https://www.zukan-bouz.com/(参照2020-12-8).
『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』.https://ja.wikipedia.org/wiki/,(参照 2020-12-8)