ヒトデ類・クラゲ類等 | |
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マヒトデ Asterias amurensis Lütken,1871 東京湾でも、内湾から外湾の浅所にかけての砂底に普通にみられ、輻長15cmくらいになる大型種。体の色からキヒトデとも呼ばれる。体には青紫色の斑紋が見られるが、個体差が大きい。一部の地方で生殖腺を食用にする。オーストラリアなどで、漁業被害をもたらす外来種となっている。 |
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スナヒトデ Luidia quinaria von Martens, 1865 輻長15cmほどの大型種。全体に黄褐色~赤褐色で、淡色の叉棘がある。内湾の砂泥底に分布する。海底を滑るようにとても速く移動する。砂中の貝類などを捕食する。夜の底釣りなどでかかることも多い。 |
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モミジガイ Astropecten scoparius Muller & Troschel, 1842 輻長7cmほどの中型種。背面の体色には、赤褐色、橙色、青灰色、黄色などの個体差がある。管足は吸盤状にならない。内湾の砂底に分布し、砂中の貝類、特に小型の個体を捕食し、東京湾内でもアサリに被害を与えることがある。 |
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トゲモミジガイ Astropecten polyacanthus Muller & Troschel,1842 輻長約10cm、暖かい海の砂浜や干潟、潮下帯などに広く生息する。昼間は砂や泥の中に隠れ、薄暗い時間帯に活動する。褐色や黒色など背面の体色には個体差がある。モミジガイと似るが、腹面の管足がモミジガイでは淡褐色なのに対し、本種では鮮やかな赤色であることなどから区別ができる。モミジガイの仲間は体内にフグ毒であるテトロドトキシンを持つことがあり、特にこのトゲモミジガイの毒は強いとされている。 |
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クシノハクモヒトデ Ophiura kinbergi クモヒトデの仲間は普通のヒトデ類と違い、盤の部分と腕の部分がはっきり区別できるのが特徴の1つ。本種は、盤は直径約8mmで薄く、腕は長さ約30mmで細い鞭状。盤と腕の厚さがほぼ等しい。東京湾でも内湾の泥底に多く見られ、よく腕を振って移動する。 |
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ハスノハカシパン Scaphechinus mirabilis 九州から北海道まで、また朝鮮半島から中国北部の潮間帯から水深100mほどに広く分布するウニの仲間。このカシパン目を含む不正形類は、普通のウニと違って長い棘を持たず、海底の砂泥中に潜って生活する。食用にはされず、時には大発生してアサリなどの二枚貝の成長に影響を与え、駆除の対象となることもある。殻長60mmほどになる。 |
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ミズクラゲ Aurelia aurita 傘径30cmほどになる東京湾で最も多く観察されるクラゲ。4つの生殖腺が傘をすかして見えるため、ヨツメクラゲとも呼ばれる。刺す力が弱いので人に直接害を与えることはないが、時に大量に発生して発電所の取水や漁業に影響を与えることがある。触手で主に動物プランクトンをとらえて食べる。近年は家庭で飼育されることもある。従来、世界中に生息する種のA. auritaとされていたが、近年の研究では日本近海のものは遺伝的に区別される別種A. coeruleaとされている。 |
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アカクラゲ Chrysaora pacifica 傘に赤褐色の放射状の帯が16本ほどあり、傘径約30cmになる。50本近い触手にある刺胞毒は強く、刺されると激しく痛む。東京湾でも夏場に普通に見られ、死んで浜辺に打ち上げられたクラゲでも刺されることがあるので注意が必要。乾燥して粉末状になるとくしゃみを誘発するため、ハクションクラゲなどとも呼ばれる。触手の間をマアジやイボダイの幼魚が隠れ場所として利用することがある。 |
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イシワケイソギンチャク Gyractis japonica sensu Uchida & Soyama, 2001 2024年8月6日、羽田沖、桁網で採集。 (ishiwakeisoginchaku.pdf (server-shared.com) |
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ウミサボテン Cavernularia obesa (Valenciennes in Milne Edwards & Haime 1850) 暖かい海の内湾の水深20mまでの砂底に生息する。一般にソフトコーラルと呼ばれる八放サンゴの一種で、こん棒状の群体を作り、海底から直立して生活する。著しく伸び縮みし、伸びたときには50㎝にもなるが、網などでの採集された時には縮んでいて5~10㎝ほど。昼間は縮んで砂に潜り、夜間に海中に伸び出し、刺激を受けると緑色に発光する。東京内湾では三枚洲などで見られ、近年は当協会が実施する羽田沖での生物調査でも多く採捕されている。 |
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ユウレイボヤ Ciona savignyi 直径約2cm、長さ10cmほど。内湾域の岩礁や港湾などで基質に付着している。白色半透明だが、全身に橙色の斑紋を持つ個体も見られる。似たカタユウレイボヤ C. intestinalis は、輸精管の先端が橙色であることで区別されるが、不明瞭な個体や色彩変異のある個体もあり、区別が難しい。当協会による羽田沖での貝桁調査などでも多量に採捕されることがある。 |
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マンハッタンボヤ Molgula manhattensis 直径約4cm。名前の示すとおり、北米原産の移入種。1972年ごろに瀬戸内海で発見された。低塩分や汚濁に強く、河口域や港湾の潮下帯などの人工構造物上に群生する。繁殖期は春から秋で、短期間のうちに成熟し、約1年とされる寿命の間に繰り返し繁殖する。 |
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シロボヤ Styela plicata 直径5cmほど。世界の温水域に広く分布する。韓国では食用とされることもあるが、日本では利用されず、むしろ養殖場などでは網や浮きに付着して嫌われることが多い。ホヤの仲間は、水中の有機物やプランクトンをこしとって食べるが、シロボヤ1個体が1時間に約800㎖の海水をろ過することが知られている。 |
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エボヤ Styela clava 体長10cmほどで細長く、”柄“の部分で他の物に付着する。黄褐色で、表面に凹凸がある。シロボヤとともに、韓国では”ミドドク“と呼ばれて食用にされ、鍋物などの具材となる。日本で食材となるホヤは主にマボヤで、江戸(東京)でも古くから食べられていたことが「魚鑑」や「和漢三才図会」に記されているという。 |
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ウロコムシ類 2024年2月13日、羽田沖、桁網で採集。 |
参考資料 |
・東邦大学理学部東京湾生態系研究センターHP ・HP「気ままに自然観察 ー三番瀬で出会った生き物たちー」 |